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あの放課後から何週間か経ち、あれから何回か連絡を取っているものの直接会って喋る事は無かった。
しかしあの日から私の頭の中では”美沙子”と彼の声でリピートされている。
少し低めの透き通った声で、それと同時に浮かんでくる優しげな瞳。
男の子に初めて名前で呼ばれる事とあの表情に驚いた事への衝撃で今も思い出すんだ。
きっとそうなんだ。
「もしかしてさ、出っ歯とか?」
「いや、きっと喧嘩に明け暮れて大きな傷があるとか!」
「…何の話?」
「「須藤のマスクの下の素顔」」
午前の授業が終わり、お昼を雨弥と奏羅と食べようと思い2人の元に来てみればそんな話をしていた。
彼と付き合うきっかけになったマスクの下の素顔。
付き合ってから少し経つが、未だに全くその正体を掴めていないのが現状。
そろそろ行動しなくては…。
「美沙子はどう思う?」
「え、マスクの下?…んー、意外と普通…とか?」
「えー…。まぁ、案外綺麗な顔してるから美形って線もありだけど…」
目の辺りしか見えてない彼だが、確かに肌は白いし、瞳も綺麗だし…。
そんな事を考えているとまた私の中で彼の声が再生される。
やめろ!思い出すんじゃない私!
再生しまいと頭をブンブン振っていると2人に心配そうな目で見られる。
しかしすぐに2人はまた彼のマスクの下の素顔の話に花を咲かせる。
考えてもみなかった、彼のマスクの下がどうかなってるなんて…ていうか何でマスクなんてしてるんだろ?