---
その日の放課後。
下駄箱に向かうと、私のクラスの下駄箱にもたれかかりながら携帯を見ている須藤君の姿。
そして、その周りには年下であろう子達が囲っている。
その光景を見て私は物陰に身を隠しながら様子を見る。
「須藤先輩、今から帰る所ですかぁ?」
「私達と一緒に帰りましょうよー!」
「……。」
「あ、良かったら連絡先教えてくださいー」
猫なで声で言う彼女達の語尾には明らかに、ハートマークがついてるわけで…
でもそんな彼女達の事なんてガン無視の須藤君。
それに対してめげずに話しかけてる彼女達のメンタルときたら…凄いな…
そんないらぬ感心をしていると、パッと須藤君がこっちを向き、私と目が合う。
美沙子。と私の名前を呼びながら近付いてくる須藤君は周りの子達なんてお構いなしで…
「何してるの。」
「え、いや…話しかけられてるな…と。」
「え?あぁ…気のせいでしょ。」
彼女達の方向をチラッと見た須藤君は、サラッとそう言う。
…なん…だと…⁉︎気のせい⁉︎
え、だって、めちゃくちゃ囲まれてたじゃん!須藤先輩って呼んでたよ⁉︎
それを…気のせいの一言で…
そう心の中で突っ込みを入れながら、彼女達に視線を移すと、私の事を睨んでいる彼女達が目に映る。
ひっ…!怖っ!めっちゃひそひそ話してるんですけど!怖いんですけど!
「美沙子?帰るよ。」
「え?あ…あぁ…うん…」
須藤君は私の手を引っ張って何食わぬ顔で女の子達の間を堂々と通る。
めちゃくちゃ睨まれたよ…。