リビングに案内され、ダイニングテーブルに座る。
俺の横には美沙子、目の前には美沙子の母親が座る。
「須藤君の話は美沙子から聞いてたから会いたいと思ってたの!」
「そうなんですか…」
「でもやっぱり思ってた通り美形だったわー。」
「え?何で美形って分かるの。」
「何でってさっきマスク外して挨拶してもらったからだけど?」
「えっ!外したの⁉︎」
俺の腕を掴んで驚きながら聞く美沙子に、うん、と頷く。
返事を聞いた美沙子は、何で…とテーブルに項垂れる。
そんなに落ち込む事じゃない…と思っていると、
「その内見るんだからいいじゃないー。」
「だからって私より先にお母さんが見る事ないじゃん。」
「別に見たくて見たんじゃないもん、須藤君が丁寧に挨拶してくれただけだから。」
何も言えないのか美沙子は、う゛ーと声を出しながら母親を睨む。
俺の話もしてくれるくらい仲が良いんだな、と微笑ましくその光景を見ていると、ポケットに入っている携帯が震える。
チラッと見てみると、画面には母親の文字が映し出されている。
電話だが、どうせ早く帰って来いとかそう言う連絡だろうから出なくて大丈夫だろうと思い、再びポケットにしまう。
「遠慮しないで出てくれていいのよ?」
「あ、いえ、大丈夫です。」
「お家からとかでしょ?早く出てあげて!」
「…すみません。」
俺はその場から立ち、廊下に出て携帯の通話ボタンを押す。