トントンと下に降り、玄関に向かう美沙子の後ろをついて行く。








「お母さん、遅かったね…」

「美沙子誰か来てるの…て、あら。」

「あ、えっと須藤君…です。」









俺は美沙子の母親と目が合いお辞儀をする。

挨拶をして、印象悪いのだけは避けよう、そう思いマスクを外そうとした時。









「あー、美沙子。荷物重いからキッチンに運んで!」

「え?ああ、うん…」










母親はグイグイと買い物袋を美沙子に押し付ける。

その様子に戸惑いながらも荷物を受け取った美沙子は奥に入って行ってしまった。

…え、1対1で挨拶は流石に緊張する。

そう思いながらも俺はマスクを外し、










「初めまして、美沙子さんとお付き合いしてます、須藤彼方です。」

「あらー、思った通り美形ねぇー!」

「…?」

「あ、美沙子にはまだマスクの下見せてないんでしょ?早くつけてつけて!」

「え、いや、でも」

「いいからいいから!」









笑顔で、早く!と急かされ俺は戸惑いながらマスクをつけ直す。

そこに美沙子が戻って来て、何の話してたの?と聞かれると、









「内緒!さっ、須藤君散らかってるけどリビングでゆっくりしていって?」

「え、いえ、大丈」

「遠慮しない!」








そう言って俺の背中をグイグイと奥へ押す。

俺は助けを求め美沙子に視線を送ると、申し訳なさそうな顔をして手を合わせている。

…少し居座ったらすぐ帰ろう…。

背中を押される俺は諦めて、お言葉に甘える事にした。