いや、そういう風に見えただけ…?
でも最初に喋った時よりも彼の瞳は優しく見える。
「俺の事は彼方でいいから。」
「いえ!須藤くんで大丈夫です!」
そう放たれた言葉に私は咄嗟にそう言ってしまった。
彼は、そう…と言って黙ってしまった。
や、やってしまった…即答で断るとか私は何をやっているんだ。
ここは嘘でも、うんって返事をしておくべきだった…!
「美沙子。」
「はいっ!」
また呼ばれ私は体を硬直させながら返事をすると、何でもない、と言われてしまった。
彼はどこか楽しそうにしている。
勿論、私にはマスクの下の表情は分からない。
でも彼の瞳がそう言っている気がする。
それが初めて彼の表情を読み取った瞬間だったー。