「その…元彼…?」

「何で疑問系なの。」

「いや…ま、まぁ!もう終わった事だし!ほら次のページ!」

「どれぐらい付き合ってたの。」









話をはぐらかそうとする美沙子を真っ直ぐに見つめて質問すると美沙子は黙る。

…これは重いんだろうか。

彼女の過去の事を聞くのは。彼女の過去の男の事を知りたいと思うのは。

美沙子の事が知りたい。









「1年ちょっと…かな。卒業する前には別れてたよ。」

「何で?」

「…んー、色々かなぁ。高校も別になるって分かってたし。」

「そっか…御免、聞かれたくなかった?」

「え?ううん、全然。」









笑顔で返してくれる美沙子。

正直、卒業アルバムに仲良く男と映ってる事に嫉妬した。

それで情けない事に出来れば喋りたくないであろう事を平気で聞いた。

…みっともないな…。










「他に聞きたい事とかない?」

「え?」

「いや、須藤君にはどんな事でも知ってもらっておきたいなぁって…」









少し照れ臭そうに、あははと笑いながら言う。

…可愛い、そんな事言われると困る、我慢出来なくなる。

そんな邪な考えを取り払うように俺は卒業アルバムに目を戻す。

アルバムを見ながら質問をする。

修学旅行は何処に行ったのか、とか。

最後の文化祭は何をしたのか、とか。

そんな他愛もない質問をして会話をする。