「それで、何かお礼出来たらなーと思って!」
「お礼?」
「うん。何か希望ある?」
…希望…あるって言えばあるが、流石にいきなり美沙子が欲しい、なんて言ったら引かれるだろうし。
何より美沙子の事は大事にすると決めてるので、お礼だって言って彼女を抱くわけにはいかない。
本当お礼とかいらないんだけど、ここで断っても美沙子は譲らないだろうから。
何か別のものを…と思いながらキョロキョロと部屋を見渡すとある物が目にとまる。
「あれ…」
「ん?何?」
「美沙子の中学校の卒アル見たい。」
棚に大事に並べられてある本を指しながら言う。
別に嫌だったらいいんだけど…。
美沙子の中学校の頃の話は少し聞いていたりするが、やっぱりどんな感じだったのかを写真などで見ておきたいって言うのは本当の気持ち。
自分が結構女々しい事に情けないが、美沙子の事はどんな事でも知っておきたい。
「え?そんな事でいいの?」
「うん。」
「そ、そう…。もっと欲しいものとか言えばいいのに…。」
そうぶつぶつ呟きながら立ち上がった美沙子は俺の指定した卒アルを手に取り、再び俺の横に座る。
はい、と差し出された卒アルを俺は黙って受け取り、表紙をめくる。
何枚かめくっていくと、1人1人の名前と写真が載っているクラスページになる。
「美沙子は何組?」
「え、聞くの?探してよ。」
「…分かった。」
楽しそうに言う美沙子に文句なんて出てこず、俺は黙って美沙子探しを始める。