2階に上がりドアの前で、此処が私の部屋ー、とにこにこ説明しながら部屋に入る美沙子。
「好きな所座ってて!飲み物取ってくるからー。」
「え、あぁ、お構いなく…」
ドサッと自分の荷物を置いた後、俺の言葉を聞いてない美沙子は部屋を出て行った。
置いてきぼりをくらった俺は諦めてテーブルの近くにある小さな座椅子に腰をかけた。
チラチラと部屋を見渡してみれば、やはり俺の部屋と違って色味があってベッドの上に可愛いぬいぐるみが置いてあったりする。
「お待たせー。」
「ん、ありがと。」
ジュースの入ったコップをのせているお盆を俺の前のテーブルに置いた後、美沙子は俺の横に座る。
…何故横に座る。
俺を試しているのか。俺は試されているのか?
「須藤君、改めて文化祭の時はありがとうございました。」
「ん?あぁ、気にしなくていいよ。」
「倒れた時の事もなんだけど…」
少し言いにくそうにもごもごと口を動かす。
…倒れたのを運んだ事以外で何かお礼言われるような事あったっけ?
ん?と言いながら美沙子の顔を覗くと
「あんな酷い言い方したのに凄い気に掛けてくれたでしょ?」
「…別に俺が勝手にした事だから。」
「それでも、嬉しかったの!ありがとう。」
少し照れながらお礼を言う美沙子はとても可愛くて…
いや、我慢。我慢しろ、俺。