「ねぇねぇ、小鳥遊さん下の名前は?」

「え?美沙子…です。」

「美沙子ちゃんね!オッケー!」







そう言って広田君は親指と人さし指で輪っかを作ってオッケーサインを出す。

いや、何がオッケーなんだ。全然オッケーじゃないし。

男の子に美沙子ちゃんとか呼ばれるのいつぶりなんだ。

て言うかこの人チャラい。チャラすぎる…。






「おれ、トイレ行って来るわー。」

「あ、僕も行く。」







じゃぁ行ってくるー、と言って広田君と私の顔を見てにこりと笑った一条君は行ってしまった。

何なんだ、何故一条君は笑ったんだ?

…もしかして、気を遣われた?2人っきりにされた?

よ、余計な事だよ…一条君…。

だってこの人と話す事ないし、そもそも会話続かないと思うし!








「美沙子。」

「へっ⁉︎」

「…て呼んでいい…?」







恥ずかしいのか私の事を全く見ずに言う彼に驚いた後、私はみるみるうちに顔が熱くなっていく。

な、何でわざわざ確認なんか!

てか呼び捨て⁉︎私男の子に名前呼び捨てにされた事あるっけ⁉︎

私は1人でテンパって視線を彷徨わせていると、







「ごめん、嫌ならいいから。」

「え、あ、嫌とかじゃなくて、どうぞ、お好きなように呼んでください!」

「…そっか、良かった。」







え…?今、笑った…?