文化祭2日目。
此処まで来れば大丈夫…かな。
はぁ…と大きなため息をつきながら廊下の隅に座り込む。
文化祭は嫌いだ。
お祭り気分で浮かれている男子が多いし、何より他校の生徒が居る事に吐き気がする。
今もお腹が空いたので他クラスの出し物の焼きそばを食べようと並んでいると他校生の男に声をしつこく掛けられた。
無視しても話しかけて来るので文句の一つでも言ってやろうかと思ったが、訳あって今は雨弥の格好をしているあたし。
周りには沢山人が居るので、雨弥の姿で汚い言葉を使うわけにもいかないので、睨んで舌打ちをして逃げて来た。
逃げてる間も違う男が声を掛けてきたりするので、あたしは文化祭中立ち入り禁止になっている第2校舎に来て今に至る。
早く文化祭終わんないかな…お腹空いた…
しかし本日の文化祭は始まったばかりで気の遠い話。
いいや…人来なさそうだし今日1日此処で過ごそう、そう思った時。
「あれ、間宮さん?」
「…い…一条、君。」
「こんな所で座り込んでどうしたの?しんどい?」
「いや、大丈夫だから!」
あたしはパッと立ち上がり、近づいて来る一条から遠ざかる。
会いたくない奴に会ってしまった…
あたしと喋った事がある奴と会ってしまえば、きっと雨弥じゃないとバレる…!
雨弥と入れ替わる条件で美沙子以外にはバレないようにって約束したんだ。
それは何が何でも守らなければ雨弥に怒られる…!
「間違ってたら御免。…奏羅ちゃん…だよね?」
「はっ⁉︎」
「髪の毛短いけど…切ったの?」
「ち、違うよ?一条君、何言ってるのー。」
あはは、と乾いた笑みで誤魔化す。
…何でこいつ、こんなすぐにあたしだって分かったんだよ!
今まで雨弥と何度か入れ替わった事はあったが、バレた事なんて殆ど無い。
それを…何で…!