「お前の事は好きだぞ。」
「へっ…?」
唐突に言われた言葉に固まる。
この人は何を急に言い出すんだろう…。
自慢ではないが何回か告白された事があるとは言え、こうもはっきり言われると照れてしまうのは事実である。
「お前は強いからな。あの女より好きだ。」
「あの女って…美沙子ちゃんの事ですか。」
「まぁ彼方に守られてるだけじゃないって分かったからいいけどよ。」
そう言いながら彼は汚い事なんて全く気にせず地面に寝転がる。
そう言えば何でこの人は文化祭の日なのにこんな所に居るんだろう…
クラスだって出し物とかしてるはずなのに。
あ、それよりもこんな所で呑気にこの人と喋っている場合では無かった!
奏羅を探しに行かないと、と思いその場から離れようとした時、
「なぁ、暇だから俺様と付き合えよ。」
「…はい?」
行きかけた足は彼の言葉によって動かなくなる。
この人は本当に急に何を言い出すの…。
「一回勝負しろよ。殴り合い、しようぜ。」
彼はギラギラと目を輝かせながらニヤリと口角を上げる。
付き合えって…そういう意味…
自分の勘違いにボッと顔が赤くなる。
この人は何て紛らわしい言い方をするの…!
「しません!」
「あ?何でだよ。」
「馬鹿なんじゃないですか!此処で大人しく寝ていなさい!」
大声でそう怒鳴りつけてその場を後にする。
あの人の言い方が悪い…!
好きだとか、付き合えとか。
あんなにもはっきりとサラッと男の人に告白をされた事がない。
不覚だ…あんな暴力が大好きな人に言われて間に受けて照れてしまうなんて…。
もうこれ以上彼には関わらないでおこう、今日言われた事は忘れよう。
そう思いながら再び小走りで奏羅を探し始めた--。