「皆、お客さんは廊下でも待ってくれてるから今まで通りお店回して行こう。」







意を決して不安がっているクラスメイトに話しかける。

ウザいとか思われてもいい。

でも美沙子ちゃんが頑張って準備したこの出し物を今台無しにするわけにはいかないんだ。








「今…美沙子が抜けるのは不安だと思う。でも皆で協力したら大丈夫だから。」

「間宮さん…。」

「あ、あたしは人手が足りないから、えっと…雨弥呼んでくる。」








その間お願いしていいかな?、と皆の目を見て言うと、さっきまでの不安な様子は無く、皆笑顔になっていて。

任せて!や、やりますか!と皆今一度気合を入れ直している。

雨弥はそんな皆に、お願いね、と言って教室を勢いよく出る。

こんな時に男嫌いがどうとか言ってる場合じゃないからね、奏羅…!

キョロキョロと辺りを見回しながら早足で歩くがなかなか奏羅は見当たらない。

何処に行ってるんだろう…。

男の人に絡まれるの嫌だから、あんまり人の集まってる所には行ってないだろうけど…。

…あ、もしかして、あそこ…?

ある場所が頭に浮かび、浴衣なので小走りになりながらその場所に向かう。








「あれ…いないな…。」








第2校舎裏に着き、辺りを見回すが何処にも奏羅の姿はない。

人があまり居ないだろうし、もしかしたら広田君や一条君が居ると思ったんだけどな…

と、その時、後ろからザッと音がしたので振り返ってみるとそこには赤松君が立っていた。

こちらを睨んだかと思えばズカズカと近寄って拳を振り上げる。

雨弥は反射で振り下ろされた拳をパシッと受け止める。