そしてその心配は的中する。
一般開場から1時間も経たないうちに、クラスはお客さんで賑わい繁盛していた。
皆動き回っている時、大きな音がしたと思ったら美沙子ちゃんが倒れていた。
近くに行き、奏羅のフリなんてそっちのけで美沙子ちゃんの名前を大きな声で呼ぶ。
しかし反応は無く、どうしようと涙目になっている所に颯爽と現れる執事姿の須藤君。
チラリと雨弥を見たが何も言わず、美沙子ちゃんをお姫様抱っこして教室を出て行こうとする。
でも教室を出る前に足を止め、チラリと女子グループの方向を見たと思ったら、
「今度美沙子に余計な事したら、タダじゃ済まないから。」
そう言って美沙子ちゃんをお姫様抱っこしたまま教室を出て行った。
え…須藤君ってあんな王子様っぽいキャラだっけ…?
雨弥はその場から動けずポカンとしていると、それまで静かだった教室が騒がしくなる。
主に黄色い声が飛び交っている。
須藤彼方が凄く格好良い、と。
…これは、美沙子ちゃんのライバルが増えそうな予感…。
しかしそんな中、クラスメイトからは不安な声が飛び交う。
「指揮してくれてた小鳥遊さん居なくなったけど、どうするの?」
「全部小鳥遊さん任せだったもんな…」
「頼りっぱなしだったから倒れちゃったんじゃ…」
確かに今日始まったばかりで、指揮を執ってくれていた美沙子ちゃんが抜けるのは辛い。
でもこうなったのは、皆のせいでもあるし、雨弥のせいでもある。
だからこそ、今しっかりしなくちゃいけないんだ。