私はお言葉に甘えてお菓子に手をつける。
それを見て、広田君と一条君も自分の食べたいお菓子に手を出し始める。
しかし買って来た本人は食べようとしない。
…はっ!今ここでお菓子を食べる為にマスクを外してくれれば…!
シャッターチャンスじゃないか!
「食べないの…?」
「あぁ、俺はお腹空いてないから。」
何だと⁉︎お腹空いてなくてもお菓子は別腹で入るだろ⁉︎
なんて心の中でしか言えない私は苦笑いをしながら、そうなんだ…と彼に言う。
くそう…無理だった…チャンスだと思ったのに…。
「本当は千尋にも紹介しようと思ったんだけど、今日学校来てないから。」
「え…?」
彼の口から出てきた名前の人物は私でもよく知っている。
金髪でピアスが沢山開いてて人相が悪くていつも何処かしらに怪我をしているうちの学年の問題児No.1の赤松 千尋(あかまつ ちひろ)。
そんな人と関わるなんてあり得ない…今日学校休んでてくれてありがとう!
私は心の中で1度も喋ったことのない問題児にお礼を言う。
「でも千尋には会わせない方が良いんじゃない?」
「それはおれも賛成ー。千尋、女の子嫌いだし?」
「えっ⁉︎そうなの…?」
「うん、だから殴られないように気を付けてね。」
にこっと笑って言う一条君の言葉に私は顔が引きつる。
やばい、本当に殺られるかもしれない。
早くこのミッションを終わらせねば…!