「泉、あのさ…」




私が声を掛けようとすると、泉は泣きそうな顔で走って行った。




その時になって、気づいてしまった。





ああ、私はなんて最低なことをしたんだろうって。





確かに、鈴木くんを泉に渡したくないって思った。




でも、だからって泉のあんな顔が見たかった訳じゃない。





泉の…親友の泣きそうな顔なんて見たくない。





「私は最低だ」





さっきまで楽しみだった放課後が、一気に憂鬱になった。