帰り道
私は永倉さんと話を…、いや永倉さんが一方的に話しかけていた
「雨と晴れどっちが好きだ?」
「……嫌い。」
「え?」
「どっちも大嫌いです。」
「雨なら分かるけどなんで晴れが嫌なんだよ。」
「…なんとなくです。」
「なら好きなのはなんだ?」
「……月。」
「あの月か?」
「はい。とっても大好きなんです…。」
私は上を見上げた
月は欠けているがそれでも輝いていた
「…本当に大好きなんです。」
分からないけど凄く愛おしく感じる
「…っ、そうか。」
「…それに、夜はやっぱり落ち着く…」
心無しか部屋に1人で籠ってる時より落ち着く
あれ?
あの向こうの方が落ち着く気がする……
「おい!」
「…っ!」
永倉さんはいきなり大きな声を出して私の手を掴むものだから驚いた
「お前はどこに行こうとしてるんだよ!そっちは森だぞ?!突然凄い勢いで歩いていくからさ。」
「え?」
「え?…って、無意識かよ。森と何か関係あったのか?ま、違うだろうけどよ。さ、ほらさっさと帰るぞ。」
「…?」
永倉さんの言ってることがよく分からなかった
考える暇もなく永倉さんは私の手を引いて私が行こうとしていた方向の反対を歩き出した