暫く歩くと永倉さんは立ち止まって灯りがついているところへと迷いもなく入っていった



「いらっしゃい。」



「うどんを二つ。」



「まいど。なら、好きな席に座って待っててや。」



中に入るとおじさんが一人と人が十人ばかりいた



「……っ。」



周りをみて私は息を飲んだ



(こ、怖い……)



無性に込み上げてくる恐怖と不安で今にも倒れそうだった




「大丈夫だ。」




永倉さんは後ろから私を支えながらそう言った




「…けど、」



「大丈夫。何かあったら俺が守るって言っただろう?」



「……はい。」



今は永倉さんの事を信じるしかない



そう思うしかなかった



私たちは席に座った



「ここのうどん屋凄い美味いんだぜ。」



「……そうなんですか。」



「ここの出汁は何使ってるのか聞いても教えてくれないだよな。まぁ、他の輩から味を盗まれないためだろうがな。」



「…へぇ、そうなんですね。」



永倉さんの話なんか頭に入らない



怖い…



「…月子、あのさ、」



永倉さんがそう言いかけた時だった