総司は後ろを振り返って木のところを睨んだ
「何かいるのか?」
「えぇ。ほら、あそこの木のところを見てください。…こっちに来てますよ。」
総司が言ってたところをよく見てみる
「……っ!」
俺は霊感とか全くないが確かに視た
「見たのところ人間のような形をした妖ですね。 」
総司の言う通り奴は人間とそっくりだけど、背中に黒い翼が生えていた
あれは天狗…だと思う
天狗はゆっくりこちらに歩み寄ってきた
「どうするよ。」
「みえないフリですよ。」
俺達は少し視線をズラして目を合わさないようにした
が、天狗は俺達が見えていたことを知ったのか話しかけてきた
「おい、人間。」
「……。」
「無視をするな。俺はお前らを殺さない。」
「本当なのか?」
「永倉さん!」
「あ…やべ。」
「はっ、別に無視を通さなくとも俺はお前らに忠告しといてやる。ありがたいと思えよ。」
天狗を見た時俺は気付いた
さっきまであたりは茜色に染まっていたのに、今では夜のように真っ暗だった
「…ったく、なんでこいつらに言わないといけないんだ。訳が分からない。あいつがいるのに、なんでいっつもいっつも、俺に命令してくるんだよ……。あいつがまだ見つかってないっていうのに…」
天狗はぶつぶつと文句を言っていたが何のことかは分からない
「おい、よく聞けよ。」
俺達は黙って聞くだけ聞いた
「お前らは……、…っ!お前!その刀はとこで手に入れた!!」
突如、天狗は俺の持ってる刀を見たと思ったら凄い剣幕で俺に迫ってきた
「いや、これは…その…」
剣幕に驚いて言葉が詰まった
「不味い…。っち、面倒だな。」
天狗はパチンと指を鳴らすといつもの景色になったかと思ったら天狗の姿が消えていた