「…何も思い出せないことに変わりはない。


今までもそうだった。どんなに思い出そうとしても、何かが邪魔をして何一つ思い出せなかった。


でもね、紗弥香さんに『ありさ』って呼ばれて、懐かしいって思ったの。



心の奥底で、何かが動いたような気がするの」








だから、ありがとう。








最後の言葉は、言わなくてもいい。



絶対、届いてるから。