「……やっぱり、私の事、思い出せない…?」


「……うん。ごめんね」



紗弥香さんの声は哀しさを含んでいた。



「謝らなくていいよ。

私こそ、急に会いたいって言って、ごめんね。

はーちゃんから、話を聞いたとき、どうしても

会いたいと思ったの。

…会って、少しでも思い出してもらえたらな、

って」


哀しそうに笑う紗弥香さんに、私は微笑んだ。



私が、紗弥香さんに会ってから、感じたことを話すために。