真結が勢いよく開けた教室のドア
一斉に視線が集まる
さっきまで中が騒がしかったのに
一気に静まる
私は怖くて目が開けられず、ずっと閉じたまま
「おー!」
「すげぇ、可愛い///」
「鷹森さん、ちょー似合ってる」
「鷹森さん、スタイルいいから綺麗」
「似合ってるよ、鷹森さん」
男女からの賞賛の声
恐る恐る目を開けると
みんなコスプレをしていて
中にはオバケみたいな格好をしている人もいた
「プッ…」
思わず笑が漏れる
「鷹森さんが笑ったー!」
えっ⁉︎
私が笑っただけで、そんなに驚くことかな?
「今まで俺らの前では笑ってるとこ、見たことなかったから」
「うんうん。ほとんど藤原の前だけだったからな」
そうだったんだ
気づかなかった
みんなが、私を取り囲んでいる間
ただ一人
私の近くにいなかった人物は
「カエのほうが可愛いのに」
密かに羨んでいることを私は気づかなかった