次の火曜日。
鳴海の姿はなかった。
嬉しそうに大地に寄り添う陽菜と、本を片手にそれを見つめるりっ君。
私はこの放課後だけはなくしたくなかったから、昂君との約束を夜にしていた。
大地の陽菜への態度がどこかそっけない。何かありそうだけど、陽菜からは何も聞いてないし。
ひとしきり毎週の様にくだらない話をして、誰からともなく帰る事になった。
「葉月、今日は送ってくよ。」
「え?」
りっ君がめずらしい。
「あ…ありがとう。」
――――――――
りっ君…何かあったのかな?そんな声が聞こえたのか、りっ君が口を開いた。
「たまには葉月ともゆっくり話をしたくてね。」
「うん…。」
「大地と陽菜が付き合ったの、驚いたよ。葉月は知ってた?陽菜が大地を好きだった事。」
突然何を…
「うん…つい最近。」
「そっか…。」
それ以上、りっ君は何も聞いてこなかった。