陽菜の提案で、今日は大地と昂君の練習が終るのを待つ事にした。



部室の前の水道に腰を掛けて、いつもの様に二人で他愛のない会話をする。



ガチャ―


「大地!」


「え…陽菜?と葉月。」


大地が複雑な表情で陽菜を見る。


「待ってたの♪大地一緒に帰ろ〜?」


「あ、あぁ。」


複雑な表情から、明らかに辛そうな表情へ変わった大地の後ろから、テンションの高めの人が現れる。


「おっ♪葉月ちゃん待っててくれたの?」


「あの…うん。一緒に…」


大地と陽菜の様子が気になって仕方ない…。



「大地〜?帰りにね、大地の家寄っていい?」


陽菜が大地に甘える。


「いいよ。ぢゃあ先輩、お疲れ様です。鳴海もまた明日な。」


その会話に安心して、それもつかの間に鳴海の姿が目に入ってきた。



「お疲れ様です。」


私に目もくれず鳴海は昂君や他の部員にあいさつをして帰る。


少しホッとした私は緊張で固くなった方を落とした。


ふと隣の昂君に目をやると、まっすぐに鳴海の後ろ姿を見ていた。


睨み付ける様な、でも苦しそうな目で…


私にはそれが何を意味するかわからなかった。