唯がトイレに行っている間に大志から『俺はまだやれる!』と携帯にメッセージが届いていた。


たぶんまだひとりとしてナンパに成功してないんだな。


あいつもフラフラ誰彼構わずではなくたったひとりを探せばいいのに。


まぁ、昔大志以上にフラフラしていた挙句にまだ由香里にも気持ちがある俺にそんなこと思う資格はないけれど。


「こんにちわぁ」


「お一人ですかぁ?」


そんなことを思っているとふたり組の女に声をかけられた。


というか目の前に唯が食べかけているパンケーキを見て俺がひとりじゃないって、わかんないのか?


「どうも」


外だったら完全にシャットアウトするけど生憎と周りの目が多い店内、とりあえず会釈だけはする。


「お兄さんのことさっきからかっこいいなぁって気になってぇ」


「地元の人ですか?それとも観光?」


うぜぇ。


こういうとき充や大志がいたらあいつらが適当に答えて回避してくれるんだけどな。


「昨日から観光で」


「そうなんですかぁ〜?あたしたちも昨日軽井沢に着いたばっかでぇ〜」


「よかったら一緒に廻りませんかぁ!?」


「ごめんね、彼女と来てるから。…あっ、唯!」


そう告げると注文タイミングよく唯がトイレから出てきた。


俺が声をかけた唯の姿を見て彼女たちは渋々俺から離れていく。


唯が席に戻ってきたけれど、なんだか浮かない顔をしていた。


「唯、どうした?具合悪くなった?」


「ううん、大丈夫だよ」


唯が元気がないように見えたのは、俺の気のせいか?