「何かいいのあった?」


「あっ、うん。えっと…ない、かな?」


唯のしどろもどろな返事にやっぱりそのブレスレットが欲しいんだなとすぐにわかった。


「そう?」


「うん、大丈夫。次、行こう」


唯はあまり物欲のない子だから、欲しいってお強請りでもしてくれれば俺はすぐにでも喜んで買うけど、


まぁ唯がお強請りするなんて想像つかないな。


一通り美術館を廻って出ようとしたとき、


「上原くん。ちょっとお手洗いに行ってくるね」


「わかった。ここにいるよ」


唯がトイレに行っている間に俺は先ほどの販売ブースに戻った。


……あった。


「すみません。これ、プレゼント用に包んでください」


唯への内緒のプレゼント。


唯の驚く顔が目に浮かび、思わず笑みが溢れた。