しばらくすると唯がエプロンを片手にバタバタとキッチンに入り朝食の準備を始めて、俺たちも出来る範囲でそれを手伝う。


そして出来上がった料理を並べてみんなで食卓を囲む。


「そういえば唯ちゃん、珍しく今日の髪型いつもと違うんだね」


「今日はハーフアップなんだね。可愛いよ!」


仁奈がいつも後ろでひとつくくっている唯の髪型が違うことに気付き、由香里がそれに続いて褒める。


唯は照れるように笑顔を見せたけれど褒められたからじゃないっていうのは、この場にいる俺だけが知っている。


そう、その髪型にしなきゃさっき俺が付けた首元の紅い印が見えちゃうからな。


そう心の中で呟いて珈琲を口に含んだ。