「……………秘密」


いろいろ考えたけどやっぱり本人に直接言うのは恥ずかしいので秘密という言葉に逃げてしまった。


「…ごめんね」


唯が布団で顔を半分隠しながらボソッと呟く。何の謝罪だろうか。唯に謝られることなんて何ひとつないのに。


「なにが?」


「みんなが一緒にいるのにわたしがいるから残ってくれて。行ってきていいよ?」


あぁ、なんだ。そんなことか。気にしなくていいのに、常に俺のことを第一に考えてくれるのは唯の良いとこでもあり悪いとこでもある。


「唯と一緒にいたいんだ」


「上原くん…」


「ん?」


「大好きだよ」


唯はよく俺にこうやって気持ちを言葉にしてくれる。


「ありがとう」


まだ俺の心には由香里が存在しているから、今俺が言える気持ちはこれが精一杯だった。


だから言葉の代わりに唯に再び熱を与えて、唯からの熱に溺れて、


こうして軽井沢の夜は更けていった。