由香里が好きで、でも唯のことも好きで、


最低な男だと自分でもわかっている。


でも、今は唯の側にいたい。


微笑みながらキミは心の中で泣く子だから。


「唯!」


トボトボと先を歩く唯の姿を見つけて叫ぶと唯は振り返り俺を驚いた顔をして見つめた。


「上原くん?どうして、ここに…?由香里さんは?」


「俺も急用思い出したから」


「急用?」


首をちょこんと傾げながら尋ねてきた唯の手をそっと取る。


「ううう上原くん!?」


いきなりの俺の行動に顔を真っ赤にして口をパクパクしている。


手を繋ぐ以上のことだって何度もしているに、唯の反応はいつも新鮮で。


あぁ、もう…可愛いなぁ。


「唯とデートするっていう急用。それで、唯の急用は?終わったんだよな?」


元々、由香里と俺をふたりきりにするために咄嗟に唯の口から出た急用だ。


特に予定がないことくらいお見通しで。


「唯、デートの続き、しよっか?」


「うん。する」


俺はズルい。


唯の口から俺を求める言葉を聞きたいんだ。