「上原くん。今までありがとう。幸せになってね」


「唯、ありがとう。ワガママでごめん。たくさん傷付けてごめん」


優しく微笑む唯の小さな身体をおもいっきり抱きしめる。


これが最後の温もりかもしれないから。


忘れないように、深く深く心に刻みこむように抱きしめた。


「じゃあ俺、行くな」


唯の家を出て俺は再び由香里の家に向かった。


気持ちをリセットするには由香里に告白してからだ。


由香里の家に行くと由香里はラフな部屋着を着たまま出迎えてくれた。


「あれ?哲、どうしたの?あっ、さては唯ちゃんとケンカした!?」


「…唯とは、別れた」


口に出すと本当に唯と別れたんだなと実感がおそってくる。


「…………はぁぁぁあ!?」


「バカ、んなでかい声近所迷惑だろうが」


「いやいやいやいや!!でかい声になるって!!なんで別れたのさ!?さっきまでデートしてたじゃん!!」


「話、長くなるぞ?」


そう言うと由香里は俺を家に上げてリビングへと通した。