薄暗くなった通りを彼女とふたりで歩く。


元々大人しい子なんだろうが空気を読み取って黙って俺の隣を歩いている。


「……ありがとう、唯ちゃん」


「なにがですか?」


俺がお礼をするとキョトンとした顔を見せた。


「ん?俺を連れ出してくれて」


由香里と充の名前が出たあの場所にいるのはまだ俺には耐えられなかった。


だから意外にも俺と一緒に帰ろうと誘ってくれた彼女にはとても有難かったんだ。


「いえ。ただ、上原くんが辛そうな顔をしてたから」


「唯ちゃんって意外と鋭いね」


おっとりしたようなタイプな彼女の意外な一面に驚いてハハッ笑った。