「初恋は実らない」なんてよく言うけど、俺の場合正しくそれで。


「哲!俺、由香里と付き合うことになった!」


高校一年の秋、親友である充の口から告げられたのは俺が高校の入学式で生まれて初めて一目惚れした由香里と付き合うことになったという報告。


明るくて可愛くて人気者の由香里。


ライバルも多かったけどそんな彼女の心を射止めたのは充だった。


他のヤツなら嫌だったけど充なら由香里ともお似合いだし、何より充は良いヤツだから、


「そ。よかったな」


だから俺はふたりの恋を応援しようと決めた。


自分の由香里への恋は告げることもなく自然分解していった。