言いたくない。
でも言わなきゃ、私だけ名前ないなんてこと言われたくない…。

…仕方ない。

「赤松、蓮…」

「へーぇ!男みたいだな!」

なんか失礼な奴。
めっちゃムカってなった時に
夷隅はこたえた。

「蓮ってここ何処なのかわかるか?」

「…わかるわけない。初めて来たし、
てか、私さっき自分の家で寝てたのに…」

「……やっぱり。」

夷隅の後ろでポツンと呟く
須川。

「やっぱりって?」

「…今日俺達がここに来たのは多分、みんな同時にここへ来た。
でもみんなここがどこだかわからない。」

同時に…?

誘拐!?

でもそんなことなら
どうやって…。
こんな数十人をいっきに運ぶのって
無理がある。

「同時に……」

その時、誰かが叫んだ。

「きゃーーーーーーっ!!!!!」

「何っ!?どうしたの!?」

ちょっと派手な女の人が叫んだ。

「あたしっ!あたしっ!!あの男に殺された…っ!!!!」

「っ!!えっ。でもあなたは死んでないっ」

「死んでるのよ!!!!…わかるのよっ。お腹が痛い…。今日あたしはあの男にナイフでお腹を切られた…。」

「……。」

女性は話を続けた。