「きゃーっ!怖い~っ!」
倒れるんじゃないかって、怖くて目を瞑る。
……あたし、スピード恐怖症なんだよね。
ジェットコースターにも乗れないもん。
「じゃあ、もっとしっかり掴まれよー」
振り向いた耀くんが大声で叫ぶ。
「きゃあ~っ!!!!」
ぎゅぅぅ。
計算とかそんなんじゃなくて、ただ怖くて耀くんにしがみついた。
風がビュンビュン通り過ぎて行くのに、
背中があったかい。
耀くんの背中に守られているみたい。
少し安心して、うっすら目を開けた。
そっと、背中に頬をつける。
シャツ一枚隔てた、あたしと耀くん。
目的地なんてなくていい。
……ずっと、こうしていたいな。