私の手を繋いだまま、 高橋蒼汰は空き教室に入った。 「大丈夫か?」 「だ、大丈夫、だよ」 「我慢すんなよ!泣きたいなら泣けばいいだろ」 泣きたくなんかない。 泣きたくなんかないのに。 「うっ...うっ」 「...気にすんなよ。愛梨ってやつのこと」 「き、きに、するよ...。 だって、あ、愛梨ちゃんは...祐樹の、こと...」