俺は人生で一度だけ恋をした。 年も知らない。 学校も知らない。 ただ見かけただけ。 ひとつだけわかることは、 『彩花』 そう呼ばれていたこと。 それ以外は何も知らない。 だけど俺はその女に一瞬で虜になった。 女に不足することはない人生を送ってきた。 それは決して、遊んできたという意味ではない。 不足はしなかったが求めもしなかった。 そんな俺が人を好きなった。