------蒼汰side------
嘘をついた。
今日、ある女に嘘をついた。
眠てー。
俺はそんなことを考えていただろうか。
学校だりーなぁ。
だったかもしれない。
そのとき男女の会話が聞こえてきた。
「オッケー!じゃあパンケーキな!」
「うん!楽しみにしてるね!」
別に俺には関係のない、どうだっていい会話。
気にも止めず通りすぎる予定だった。
彼氏とパンケーキに行くことを
喜んでいるあの女を見るまでは。
「......!」
『彩花』...。
それは間違いなく『彩花』だった。
俺はそのとき呼吸の仕方すら
わからなくなっていた。
また会えると思っていなかった、
彼女に会えたからだ。