家までもうすぐ、というところで赤信号に捕まってしまった。

私は空いていたお腹を紛らわせるようにお母さんに色んな話を振った。

その内容までは覚えていないが、お母さんはどんな会話も乗ってくれた。



((……イイ‥ァ。‥ネェ.オカ‥サン‥ドコ‥ニイルノ…))



なにか聞こえた。

男の子の声。


迷子かな。

そう思って辺りを見回した。

信号は矢印信号になっていた。

向かいの信号の下にある手動のボタンから1mほど後ろ。

そこに男の子らしきモノがいた。何故だろう。

男の子の周りは他と比べて暗く見えた。

お母さんに話していた彼らとは明らかに何かが違う男の子に、私はどうするべきかわからなかった。



歩行者信号は青。

私は少し怖かったけれど気にせず歩いた。

視界の端に男の子が丁度見えるように。



          刹那。