下を向いていたはずの男の子がこちらを睨むように見た。
顔は真っ黒で目がどこにあるのかわからないのに、見た、そう感じた。
((…イマ‥ミタ?…ミタヨ‥ネ…?…ボ,クノ‥オカ‥サン‥ハ…ドコ‥?…))
怖くて仕方なかった。
ソレがそんなことを言っていたのには気づかなかった。
私はお母さんを急かすようにして手を引っ張りながらバレないように話題を変えた。
《今思うとこの歳にして、こんな考え方をしている時点で私は可愛げがなかっただろうし変わり者だったのだろう。いや、『だった』ではなく『今も』かもしれない。》
話を戻そう。
話題は『今日の夕食について』だ。
1番当たり障りのない話題だと思う。
「ねー、お母さん。お腹空いたーー!」
「家まであと少しじゃない。家まで耐えるのよー。」
「じゃあさ!今日のご飯って何ー?」
「んー…。内緒!」
「えーっ!別に教えてくれてもいいじゃん。」
そんな会話をしながら少し早歩きで歩いていた。
でもソレはその場所にずっといるモノではなかった。
今まで見ていたモノは一定の場所を離れない、所謂地縛霊というやつだった。
しかし、今回のモノは違った。