でも、ある日。
「……舞香。ちょっといい?」
「…うん。」
柊花が話しかけてきた。
「…なに?」
「この間はごめん、無神経なこと言って。」
「え…?」
「あれからずっと、舞香と仲直りしたかった。でも、話しかけられなくて。…本当にごめんね?」
私の目から涙が溢れ出した。
だって、何で柊花が謝るの?
私が一方的に怒って、怒鳴り散らして、ひどいことも言ったのに。
「私も、ごめん…。」
私は、それしか言えなかった。
本当にごめん。
ちょっと悔しかっただけなんだ。
大嫌いなんて、思ったこと無いよ。
大好きだよ、柊花。
そう言いたかったのに、ごめんしか言えなかった。
そんな私を、柊花はそっと抱きしめて、
「大丈夫だよ、舞香。本当にごめんね。大好きだよ。」
と言った。
私の涙は、余計に止まらなくなってしまった。
どうして柊花は、思ったことを素直に言えるんだろう。
私も、柊花みたいになりたい。
「ねえ、舞香…。これも青春だよね!」
笑顔でそう言う柊花は、とても輝いていた。
「そうだね!!」
そのあと、2人で一緒に帰った。
いろんな話をした。
「明日は、ちゃんと部活に行くね。」
私がそう言うと、
「一緒に頑張ろうね!!」
と、柊花が言ってくれた。
きっと、もう大丈夫。
柊花の才能に嫉妬することなんて、もう無い。
私は、静かにそう決意して、それぞれの家路についた。