「瑠花ちゃんっ。」

「…ズズっ。」







無言でジュースを飲む私の隣はもちろん松原。







松原瑛斗。
うちの高校では人気の男子。
だけど、私は正直この人が嫌い。


別に何をされたわけでもないけど、生理的に無理ってやつ。









「瑠花ちゃん、電話番号教えて?」

「やだ。」

「じゃあ何したら教えてくれる?」

「ここで全裸になってアイドルの歌踊って見せたら。」







到底出来ることのない要望だと思ったのに。







「よし、瑠花ちゃんの連絡先が手に入るなら。」

「ちょ、やめてよ。気持ち悪い。」








まさか本気でやろうとするとは思わなかった。







「あの…、松原くん。そこの席変わってもらえないかな。」

「あ?誰?」

「日野唯です。」

「女みたいな名前のお前が目立ってんじゃねえよ。」








この人…震えてる?







「うっさい。どけ。」

「あ、瑠花ちゃん。」

「ちょっと抜ける。廊下にいるから。」






この人すっごいオロオロしてる。








「あなたも。ちょっと外の空気が吸いたいの。」

「あ、…はい!」









私はこの人を連れ出して、何がしたかったのかな。