〝兄〟として祝福しなきゃいけない、のに
帰りたくない気持ちのほうが強い。
未空の照れた笑顔が脳裏に焼き付いて離れない―――――……
いきなり電話したのに
来てくれる直人に感謝、だな……
いつもの〝飯屋〟で待ち合わせ。
案内された席に座って
【先、入ってるから。】と送信。
「遅くなってわりっ」
足早に向かってきて、謝ってきた。
むしろ謝るのは、呼び出したこっちなのに。
「こっちこそ急に、ごめんな。」
「いいけど、なんかあったんだろ?」
電話の声で、おかしいと思ったらしい。
〝ずっと大事に思ってた子が居ること〟
〝その子に彼氏が出来て、針が刺さったような痛みが走ったこと〟
「それって未空ちゃんのことだよな?」
さすが……
やっぱ隠し事、出来ねぇな。
観念したように苦し紛れに笑って頷く。