瞬間ロープが切られたのかグッと首だけに体重がかかった。
足元の土台には背伸びをした時のように、つま先でしか立てれないようになっていた。
少しでも気を緩めてしまえば、本当に終わりだと隼は思った。
【あなた方が殺した女性の名前は?】
隼は1問目から頭が真っ白になった。
正直、覚えていなかった。
「殺した?俺は殺してなんかいない!あいつが勝手に!!」
ウイーンと機械音がしたと思うと、ガシャンと音がした。
さっき聞いた音と同じ音だった。
「おい…まだ答えてない…だろ…。」
【先程言いましたよ。嘘の答えや、間違いの答え、私の納得出来ない答えがあれば鉄柱は真下に落ちます。と】
「でも、答えてないじゃないか!?」
【では、答えれるのですか?】
隼の口が堅く閉じ歪んだ。
【では、続けます。あっその前に…余計な事を言えば隼さんの不利な状況を一層深める事になりますからね。】
スピーカーからの声は、最後にふふっと笑った。
本当にこの状況を楽しんでるんだと思った。
【では、質問その2】
【あなた方が殺した女性の事件当時の年齢は?】
隼は足りない頭をめいいっぱいフル回転させた。
確か…秋生と同学年で、秋生は自分より一つ…いや、二つ下…いや、三つか?
毛穴の全てから嫌な汗が噴き出る。
「じゅう…17。」
【正解です。】
隼はホッとした。
【答えていただいてよかったです。偶然にせよ正解は正解なので。早く終わったら、つまんないですもの…。】
隼は黙ったまま次の質問を待った。
【では、質問その3】
【あなた方が殺した女性の家族は何人?】
『そんな事知るかよ…。』
隼は深呼吸すると「3人。」と、答えた。
【残念です。】
またガシャンと音がした。
【あっ鉄柱は時計周りに外側から落ちていきます。今2本目が落ちましたので、残り14本となりました。】
「待ってくれ!少し、息苦しいんだ…。」
【待ちません。きっと彼女も何度も待ってとあなた方に懇願したはずです。】
スピーカーからの声は怒りに満ちていた。
「それは…。」
【質問その4】
【あなた方が殺した女性の将来の夢は?】
「そんな事知るわけねぇだろ!!」
ガシャンと音がした。
「いい加減にしろよ!質問って言うなら答えれる質問しろや!!」
【残り13本。質問その5】
スピーカーの声は隼を無視し続けた。
【あなた方が殺した女性の趣味は?】
「わかんねぇよ…。」
ガシャン。
【残り12本。質問その6】
【あなた方が殺した女性の好きな教科は?】
【あなた方が殺した女性の嫌いな教科は?】
【あなた方が殺した女性の好きな音楽は?】
【あなた方が殺した女性の好きな食べ物は?】
【あなた方が殺した女性の嫌いな食べ物は?】
【あなた方が殺した女性の親友は?】
【あなた方が殺した女性の学校名は?】
【あなた方が殺した女性の好きなテレビ番組は?】
【あなた方が殺した女性の好きな映画は?】
【あなた方が殺した女性は犬が好き?猫が好き?】
どの質問も隼は答えることが出来ずに、鉄柱は遠慮なく下に落とされた。
噴き出した汗はその後も止まる事なく流れ、足元を一層不安定にさせていた。
首のロープはそんな隼の汗を吸い、肌に食い込み重たく感じられた。
【残り2本になりましたよ。隼さん…貴方は自分が殺した女性の事、何も知らないんですね。】
「そんなのわかるわけないだろ…そんな質問ばっかりじゃねぇか!!」
【質問その16】
【あなた方が殺した女性の両親の名前は?】
『確か事件の後…跡追い自殺したって…弁護士が…えっと…見たんだ。当時ニュースで散々言ってた…』
【わかりませんか?】
初めて猶予を与えられた気がした。
「待ってくれ!確か…えっと…。」
【考えないとわかりませんか…。】
ガシャンと音がし、左足が宙に浮いた。
右足の親指だけが隼の全体重を支えていた。
「待って…待ってください。俺…なんでもするから、しますから。死にたくねぇよ。」
【きっと彼女も同じ事、何度も何度も言ったんじゃないですか?】
「言った…言ってた。頼む…頼むよ…。」
【質問です。】
【あなた方が殺した女性が死んだ日は?】
「それならわかる!!2年前だから20××年7月17日。」
【正解です。では、あなた方が殺した女性の誕生日は?】
「それは…。」
これで、答えられなければ、このロープで自分は死ぬと隼は思った。
体が震え出し、その震えは大きくなっていく。
「ごめん…わからない。けど、けど、もう一度チャンスをくれ。頼むよ!」
少しの沈黙後、スピーカーの声は一気に話し出した。
【彼女の名は高梨 水穂。17歳で死んだ。4人家族で、将来の夢は好きな人のお嫁さんで、趣味はカラオケ。好きな教科は数学で、嫌いな教科は歴史。好きな音楽はクラシックで、好きな食べ物はオムライス、嫌いな食べ物はピーマン。親友は小学校から一緒だったカナちゃん。学校は○○高等学校。好きなテレビはバラエティ番組で、好きな映画はラブコメ。猫が好きで一人暮らししたら飼いたいって言ってた。両親は輝政と菜穂。
死んだ日は20××年7月17日。誕生日は20××年…7月17日。】
「は?死んだ日…誕生…日」
【あなた方が殺した日。彼女は18歳になった日でした。】
「………。」
【では、最後の鉄柱落とします。】
「悪かったよ。俺反省してる。すっげ悪かった反省してんだよ。だから、殺さないでくれ!!頼むから。」
【………。反省?】
「あぁそうだよ。反省してるよ。」
【………。】
足元の土台には背伸びをした時のように、つま先でしか立てれないようになっていた。
少しでも気を緩めてしまえば、本当に終わりだと隼は思った。
【あなた方が殺した女性の名前は?】
隼は1問目から頭が真っ白になった。
正直、覚えていなかった。
「殺した?俺は殺してなんかいない!あいつが勝手に!!」
ウイーンと機械音がしたと思うと、ガシャンと音がした。
さっき聞いた音と同じ音だった。
「おい…まだ答えてない…だろ…。」
【先程言いましたよ。嘘の答えや、間違いの答え、私の納得出来ない答えがあれば鉄柱は真下に落ちます。と】
「でも、答えてないじゃないか!?」
【では、答えれるのですか?】
隼の口が堅く閉じ歪んだ。
【では、続けます。あっその前に…余計な事を言えば隼さんの不利な状況を一層深める事になりますからね。】
スピーカーからの声は、最後にふふっと笑った。
本当にこの状況を楽しんでるんだと思った。
【では、質問その2】
【あなた方が殺した女性の事件当時の年齢は?】
隼は足りない頭をめいいっぱいフル回転させた。
確か…秋生と同学年で、秋生は自分より一つ…いや、二つ下…いや、三つか?
毛穴の全てから嫌な汗が噴き出る。
「じゅう…17。」
【正解です。】
隼はホッとした。
【答えていただいてよかったです。偶然にせよ正解は正解なので。早く終わったら、つまんないですもの…。】
隼は黙ったまま次の質問を待った。
【では、質問その3】
【あなた方が殺した女性の家族は何人?】
『そんな事知るかよ…。』
隼は深呼吸すると「3人。」と、答えた。
【残念です。】
またガシャンと音がした。
【あっ鉄柱は時計周りに外側から落ちていきます。今2本目が落ちましたので、残り14本となりました。】
「待ってくれ!少し、息苦しいんだ…。」
【待ちません。きっと彼女も何度も待ってとあなた方に懇願したはずです。】
スピーカーからの声は怒りに満ちていた。
「それは…。」
【質問その4】
【あなた方が殺した女性の将来の夢は?】
「そんな事知るわけねぇだろ!!」
ガシャンと音がした。
「いい加減にしろよ!質問って言うなら答えれる質問しろや!!」
【残り13本。質問その5】
スピーカーの声は隼を無視し続けた。
【あなた方が殺した女性の趣味は?】
「わかんねぇよ…。」
ガシャン。
【残り12本。質問その6】
【あなた方が殺した女性の好きな教科は?】
【あなた方が殺した女性の嫌いな教科は?】
【あなた方が殺した女性の好きな音楽は?】
【あなた方が殺した女性の好きな食べ物は?】
【あなた方が殺した女性の嫌いな食べ物は?】
【あなた方が殺した女性の親友は?】
【あなた方が殺した女性の学校名は?】
【あなた方が殺した女性の好きなテレビ番組は?】
【あなた方が殺した女性の好きな映画は?】
【あなた方が殺した女性は犬が好き?猫が好き?】
どの質問も隼は答えることが出来ずに、鉄柱は遠慮なく下に落とされた。
噴き出した汗はその後も止まる事なく流れ、足元を一層不安定にさせていた。
首のロープはそんな隼の汗を吸い、肌に食い込み重たく感じられた。
【残り2本になりましたよ。隼さん…貴方は自分が殺した女性の事、何も知らないんですね。】
「そんなのわかるわけないだろ…そんな質問ばっかりじゃねぇか!!」
【質問その16】
【あなた方が殺した女性の両親の名前は?】
『確か事件の後…跡追い自殺したって…弁護士が…えっと…見たんだ。当時ニュースで散々言ってた…』
【わかりませんか?】
初めて猶予を与えられた気がした。
「待ってくれ!確か…えっと…。」
【考えないとわかりませんか…。】
ガシャンと音がし、左足が宙に浮いた。
右足の親指だけが隼の全体重を支えていた。
「待って…待ってください。俺…なんでもするから、しますから。死にたくねぇよ。」
【きっと彼女も同じ事、何度も何度も言ったんじゃないですか?】
「言った…言ってた。頼む…頼むよ…。」
【質問です。】
【あなた方が殺した女性が死んだ日は?】
「それならわかる!!2年前だから20××年7月17日。」
【正解です。では、あなた方が殺した女性の誕生日は?】
「それは…。」
これで、答えられなければ、このロープで自分は死ぬと隼は思った。
体が震え出し、その震えは大きくなっていく。
「ごめん…わからない。けど、けど、もう一度チャンスをくれ。頼むよ!」
少しの沈黙後、スピーカーの声は一気に話し出した。
【彼女の名は高梨 水穂。17歳で死んだ。4人家族で、将来の夢は好きな人のお嫁さんで、趣味はカラオケ。好きな教科は数学で、嫌いな教科は歴史。好きな音楽はクラシックで、好きな食べ物はオムライス、嫌いな食べ物はピーマン。親友は小学校から一緒だったカナちゃん。学校は○○高等学校。好きなテレビはバラエティ番組で、好きな映画はラブコメ。猫が好きで一人暮らししたら飼いたいって言ってた。両親は輝政と菜穂。
死んだ日は20××年7月17日。誕生日は20××年…7月17日。】
「は?死んだ日…誕生…日」
【あなた方が殺した日。彼女は18歳になった日でした。】
「………。」
【では、最後の鉄柱落とします。】
「悪かったよ。俺反省してる。すっげ悪かった反省してんだよ。だから、殺さないでくれ!!頼むから。」
【………。反省?】
「あぁそうだよ。反省してるよ。」
【………。】