突然、私の携帯が振動した。

差出人…お母様

『聖名!早く仁名ちゃんと一緒に帰って来なさい!帰ったらお仕置きですからね!』

その文を、仁名ちゃんに見せる。

仁名ちゃんは、首を横に振る。

そうだよね。帰りたくないよね。

私はそのまま既読無視した。

風ねぇに送ってもらって家についた。

プルルルルルル♪

こ、今度は電話だ!

私「も、もしもし…。」

母『あんたたち!早く帰って来なさい!』

私「嫌です。ごめんなさい…」

母『は?何を言っているの?早く帰って来「お電話変わりました。」

突然、大地が私の携帯を奪う。

母『あら、大地くん?』

「はい、そうです。」

母『聖名と仁名ちゃんに変わってもらえるかしら?話の途中なの。』

「それは無理ですね。あなたみたいな最低な母親に……子供を奴隷扱いするような母親に…聖名も仁名も渡せません!」

母『今、私は大変な思いをしているのよ?寂しいのよ!』

「俺にはわかりませんが、聖名も仁名も同じだったはず!特に、聖名は!」

母『あの人には、自己中だと言われて逃げられた。女中たちも、暇すぎてやめた。歌名も嫁に行った。聖名には、ひどいことをしてしまったと思うけれど、それも教育のうちだった。私より上に行ってしまって、余計に醜く見えた。仁名ちゃんの場合は、花嫁修業に出させるつもりだったの、だから、お料理を作らせたりしたわ。まずいって言って追い出してしまったけれど。後悔はしているの。』

私「今更何を行っても遅いです!私が…私が、どんなに辛かったか、あなたにわかりますか?…わかんないでしょ?私はお母様にも、お父様にも、仁名ちゃんにも、女中にも見捨てられ、挙句の果てに、初彼にも浮気された。お母様に大地を取られそうになった。捨てられる人の身にもなってください!」

泣きながらで何を言っているのかわかんなかった。

母はその後も「ごめんなさい…ごめんなさい…」と謝っていた。

私「仁名ちゃん、許してあげようよ。あの家に戻ろ?」

仁名ちゃんは頷く。

大地「帰るのか?」

私「うん!だって…あの人に、どんなことをされてもお母様だから…」

大地「わかった」

私「じゃ、ね。」

大地「………待てよ!」

仁名「あ、あの、私は、待ってるから、玄関で。ゆっくりしてきて。」

私「え、あ、うん!」

大地「………大人になったら、迎えに行く!それまで………待っててくれよな!」

そう言うと、大地は私の左手の薬指に指輪をはめた。

左手の薬指に…指輪?

なんで左手の薬指?

私「…はい!」

と言いながらも、頭の中は?でいっぱいだった。