「ねぇ、すずくん。すずくんって自分のこと平凡だっていうけど、私はそうは思わないよ。」
彼女が突然そう口を開く。
その言葉に「どうかな。」って首を傾げてしまった。
そう言ってもらえるのは嬉しいけど、自他共に認める平凡だから…。
「だって、すずくんは私にたくさんの宝物をくれたから。」
「…宝物?」
「うん、すずくんがくれたネックレスも、すずくんが好きって言ってくれたこの名前も、すずくんとつくった夢みたいな思い出も、すずくんがずっと一緒にいてくれた私自身も…。なんの価値もなかった私を、すずくんが見つけてくれたから、私にとって、私が宝物になった…っ。」
沙月の方を向くと、涙を堪えるようにくしゃっと笑ってわずかに震える声を抑えていた。
「…やっぱりすずくんはすごいよ、そんなに宝物をつくってくれるなんて、きっと天才だよっ。」
「…沙月は、大袈裟だよ。」
「えへへっ、それ言われるの何回目なんだろうねっ…。」