なんかまた誤魔化された感じはするけど、これ以上追及しても答えてくれなさそう。
仕方なく諦めるたのが伝わったのか、沙月は満足そうに頷いた。
「すずくんと出会ってから、本当楽しかったなーっ。」
脱力したように座り込む彼女の隣に僕も腰を下ろす。
「うん、僕も楽しかった。」
ただひたすらに夢のような日々だった。
平凡すぎる僕が得た、幻のような1ヶ月だ。
月がこんなにも綺麗だと知った。
嬉しいことを分かち合いたいと思った。
綺麗なものを見せてあげたいと思った。
君に笑顔でいてほしいと祈った。
沙月はたくさんのことを“初めて”って言ってたけど、それは僕も同じ。
あれも、これも、全部。君と出会って初めてのこと。