彼女のヘンテコな言い方に笑いつつも、無事に注文を済ませて案内された席へと座る。
ちょうど大きなガラスがそばにあって、窓の外の景色が見える席だった。
「まだ朝なのにあんなに美味しそうなパフェがあるだなんて反則だよ〜っ。」
「あんなに大きいの沙月食べれるの?」
「食べれるよ?ふふっ、私結構気持ちいいくらい食べるねって昔言われてたんだけどなあ。」
そう言われて今までの記憶を思い返せば、美味しそうに完食する沙月しか見たことない。
…そうだ、いつだってこっちのご飯も美味しくなるくらい幸せそうに食べてくれてた。
「…幸せそうに食べてたよね。」
「うん、ふふっ、食べるのって幸せ。だって、生きているって証だもの。」
その台詞に少し目を見開いて彼女を見ると、沙月は窓の外を向いていた。
その横顔にはもう悲しさも後悔も浮かんでいなかった。
…そっか、食べることってこれからも生きるためにすること、だもんね。
彼女の黒髪が艶やかに動く。
「それに、美味しいもの食べられたら幸せだもん、幸せってそんな小さなことに使ったっていいんだよっ。」
こっちを振り向いた沙月と目が合う。
それに気づいて僕は目を細めて、すぐに柔らかくした。
そうだね、僕が気づいていないだけで、きっと幸せってそこら中に転がっているんだろう。
それを沙月は見つけるのがすごく上手いんだ。