騒ぎ始める女子たちを無視して、自分の席に向かう。


「紅真くん、新ちゃんどうしちゃったの?」


「さぁ?久しぶりにこんにちはってしたからびっくりしたんじゃない?」


「あたしは違うと思う、眠たいんじゃない?」


おい、お前らダダ漏れだぞ。


全然ひそひそ話になってないじゃねーか。


「ねぇー新也くん。小松さんとどんな関係なの?」


「さっき名前で呼んでたよね。気になるなー」


わざと十波たちを隠すように群がってくる女子たち。


「別に」


少なくともお前らより十波の方がオレに近い存在な事は確かだ。


「ね、教えてくれてもいいじゃない」


「ほんとに。いつも別にしか言わないよね、新也くんって」


最後の方は悪口じゃねぇか?まぁいいけど。


「あ、そうそう柑菜(かんな)。今日の放課後遊ばない?」


イライラが募ってきてどうしようかと考えた時に、紅真の気のきいた助けがやってきた。


さんきゅ。


口には出して言えないけど、心の中で小さく礼を言った。