「とりあえず…教室帰ろう」


「ああ」


先を歩く紅真の後についていく。


「やっぱ…ちゃんと行ったほうがいいのか？」


ぽそっと言うと紅真がくるりと振り返って、太陽のような笑顔を向けてくる。


「めんどくさいんでしょ？」


「そうだけど…」


「なら行かなくていいんじゃない？まぁ俺にはかんけーないしね」


基本的に他人の事なんてどうでもいいっていうスタイルだったな、コイツは。



教室に入るなり、十波が近寄ってきて


「新ちゃん、別に無理しなくてもいいんだよ？」


なんて言ってきた。


「何が」


紅真がどんな話したのかは知らない。


他の女の視線が痛い。


「十波、離して。」


引っ張られていたブレザーの裾を指差すと、十波は慌てたように手を離した。


いつの間にこんなに可愛くなったんだよ…。