「…十波、相変わらずモテモテだって。でも彼氏はいないそうです」


「それがどうした」


出来るだけ平静を装って言ってみたものの、自分で思ってるより上手くは出来ていなかったらしい。


「もう好きな人がいるのか、それともただ男に興味がないのか。どっちだろうね」


そんな事、知らねぇよ…。


「なぁ、」


紅真に手紙を握っている方の手を突き出す。


「…また貰ったの?女の子も懲りないね」


紅真が肩を竦めてみせる。俺には訊くなと言わんばかりに。


「何でだと思う?オレは散々興味ないアピールしてんのにさ」


もう感覚が麻痺してきた。『好き』っていう感情がよく分からねぇ。


「伝わってないんでしょ?新也がちゃんと口で言わないから」


『無理です』って直接言わないと理解できないのかよ…。



「もうグダグダするの止めなって」