ニヤニヤしながらオレの顔色を伺ってくる所は、昔から何も変わってない。


「お前のそういう何でも見透かしてるような態度嫌いだよ」


「そんな事言わないでよ、冷たいな」


でも、実際コイツのこういう所に救われてる部分もあるから、嫌いだなんて嘘だな。


「軽くショックだった。これでいいか?」


「素直じゃないなー、新也は」


素直じゃない…か。


「ねぇ、中学のときに何があったか教えてよ。いつの間にこんな不器用になっちゃったのか」


「オレが不器用なのは昔から変わってない」


ふふっと零した笑みが、風に流されていく。


「特に何も無かったよ。話すような事なんて」


「嘘だったら怒るよ?」


「あぁ。怒れよ」


何も無かったは嘘。話すような事じゃないのは本当。